１ヵ月半ぶりに語学レッスンへ行く。
言葉が出てこない。入ってこない。うーん。焦る。
もう一度きちんと基礎をさらっておかなくては。

しばらくお休みしていたクラスメイトの女性（50代前半）がいて、３ヶ月ぶりくらいに会ったのだけど、レッスンが終わるなり満面の笑顔でやってきて、
「ご主人と別れたって聞いたけど？どうしたの？やっぱり大変だった？」
と真正面から食いついてきたのには参った（苦笑）。
ここまであからさまに興味津々で聞かれると、腹を立てる気にもなれない。
「大変でしたよ～。」
ってさらっと答えたら、笑顔倍増で
「あ～～、そう～～。裁判所行ったりとか？」
ときた…。はーー、やれやれ。行ってませんってば。疲れるなあ。
こういう物言い、表情、態度って、ものすっごーーく、おばさんぽい！と思った。

わたしも気をつけよう…。

あ…。
タイトルだけで、今日記録したい気持ちを全て書き終えてしまった（笑）。

毎日ふつうに生きているだけで、ささいなことからどんどん生まれてくるたくさんの負の感情。欲望。嫉妬。羨望。怒り。蔑み。
年を経ても、なかなか絶えることはないんだなあ。
それを自分の内に納めてやりすごすことくらいは、できるようになるけれど。
できるようにはなるけれど、それは、受け入れるのとはまた違う。
いやだあ、こういうの。
って、中学生くらいの頃のわたしの声で呟いている。本当は。
そんなに簡単に、泰然自若とした大人になんかなれるもんか。

ただ、ただ、凪を待っている。

朝起きたときには道路が濡れていて、夜中に雨が降ったらしかった。それからどんどん日が射して上天気になった。ものすごく温かくなって、本当に２月なの？って不気味になるくらいだったのに、日暮れると、すとんと気温が落ちて、ふるえながら帰る。へんな天気。ああ、おちつかないこと。

わたしの気分も、くるくる変化しておちつかない。
浮き沈み、そのどちらも抱えてうろうろしてしまう。
でも水と油って感じじゃなくて、水の中にお湯がくるくる混ざってゆく感じ。
そのうちただのぬるま湯になるだけだよ。
ただぼんやりと、そういうふうにおさまってゆくのを待っている。
うまく言えないけれど。

日曜日。
今日もまた、誰とも話さなかった。
ん、ちがった。映画館の帰りに寄ったスーパーのビール売り場にいた、くじびきのお姉さんと話したな。残念ながら、２回ひいたくじはどちらもハズレだったけれど。

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見た映画は「20世紀少年」。
いくら荒唐無稽でも、中高年がカッコイイ映画なので楽しい。トヨエツがえらく素敵なのだ。中村嘉津雄もいい味だし、チョイ役だけど小松政夫がすごく楽しそうにしているのもよかった。

映画の感想はさておき、久しぶりにT－REXを聞きたいと思ったのだけど、手元にない。洋楽のレコードやCDは殆ど元夫のものだったし、結婚したときには若くて貧乏だったから、ふたりで重なって持っていた物は中古屋に売ってしまってた。あーあ。わたしのT-REXだってあったのに。わたしのストーンズだって、わたしのヴェルヴェットアンダーグラウンドだってあったのに。

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こういうのって小さなことだけど、きっとこれからもいろいろ感じるんだろうな。
不便だな。つまんないな。

まだ離婚をはっきり決意していなくて、呆然と混乱のさなかにいて何もわからないときに、公的機関の法律相談に行ったことがある。
1時間5000円払って弁護士と話をした。わたしと同世代の男性弁護士に「ま、話し合いの時には、あまり欲張らないことですな。」と言われた。わたしは何もお金の話をしていなかったのに、だ。カチンときた。うつむいてめそめそ泣いてばかりの頃だったけど、その一言に背筋が伸びた。戦闘モードになった。切り口上で言った。
「欲張るって何ですか？お金ですか？わたし、自分で生活していけるだけの収入がありますし、わたしたちが離婚に至ったのは、片方だけの責任だけとも思いませんから慰謝料も考えておりません。マンションは夫に渡したいと思っています。それで、わたしが何を欲張るんでしょう？」
いろいろ経験した今になって思えば、離婚で弁護士を間に入れて話し合うのは大抵経済的なことなので、そういうふうに言ったのだとわかるけれど、その時は本当に腹が立った。お金のことじゃなくて、心のことでわたしは迷っているんだ！って思ったし、なんだかどうしようもなくプライドが傷つけられた気がした。それまでわたし、自分にたいしたプライドなんてないと思っていたけれど。
結果的に、あの弁護士がわたしに離婚を決意させたのかもしれない（笑）。
離婚って、そういう具体的なことなんだ！って気づかされた。

そう。あの日は、春の初めの生暖かい雨の降る日だった。
気弱にならないように、気が晴れるように、新しい、明るい春色のスプリングコートを買って、着て行ったんだった。
記憶がつるつると繋がって、いろんなことを思い出す。
いいことも、やなことも、あまりにもたくさんありすぎる。
あれからもうすぐ１年。
離婚からもうすぐ１ヶ月。
ちょっとずつ、こころを整理して記録していこうかな。

・毎日のように、帰宅してPCに向かうたびに、「あ…また電池買うの忘れた…」って思う。マウスの電池が切れかけていて、さくさく動いてくれなくて、毎晩いらいらするんだのに、朝になったら忘れている。ましてや、仕事帰りの買い物の時なんか、ちらっとも思い出さない。で、帰宅して「あ…」って。何日繰り返していることか。

・忘れちゃいけないことはどんどん忘れるし、忘れたほうがいいことはいつまでもしんねり覚えているし、忘れたと思っていたことがふいに立ち上ってくるし、わたしの脳味噌君は、ちょっと意地悪だねえ。

・仕事に行く途中に満開の梅の花を見た。春だなあ。帰りに買い物に寄ったら、蕗だとか菜の花だとか、春の食材が並んでいて嬉しくなる。春なんだなあ。帰宅して蕗と油揚げを煮ながら、ふいに、なんだっけ、なんだったっけ、と思う。ほら。あれだよ。食べたら忘れっぽくなるっていうやつ。蕗じゃないよね？ウドだっけ？なんだっけ？
…正解はミョウガでした。では安心して、うかうかのんびりと蕗を食べることにします。ミョウガ食べなくてもこんなに忘れっぽいんだよなあ。

いろんなことが、なんだかうまくいかない日ってあるものだ。
だからそんなに深刻になる必要はないんだ。
そう自分に言い聞かせる。
たまたま、重なっただけ。
仕事も、人間関係も、うまくいかないことが、たまたま今日に集中しただけ。
でもどうしてなんだろう。
どうして重なっちゃうんだろう。
ひとつひとつは小さなことなのに、がんばるのに力が要りすぎる。
疲れたなあ。

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家に帰ってぼんやりビールを飲みながら、離婚してからのわたしって何か変わったかなあ？と考えてみる。
はりつめていた気持ちがゆるんで、おもりがなくなって、ふわふわ不安定みたい。
どうにも自分で歩いていない感じ。
行き先がよくわからない感じ。
全然あたらしく生まれ変わったなんて感じはしない。
ふわふわ、途方に暮れているから、かんたんに揺らぐ。
かんたんに依存する。

どうしたらいいんだろう。
どうしたら真っ直ぐ、ゆるぎなく、自分で立てるんだろう。
その実感を得られるんだろう。
つよく、つよく、つよくなりたい。
誰もわたしに手を差し伸べたりしないでくれたらよかったのに、なんて身勝手にも思ってしまう。ひとりで歩き始めなくちゃいけなかった、まさにその時に、わたし、差し出された手に簡単に甘えてしまったのだ。それは一瞬の痛み止めでしかなかったのに。その痛み止めがあまりにも効いたから、依存度がつよくなってく。

はやくこの街を出たい。
きっぱりとひとりになって、つよく、つよくなりたい。

ここのところずっと体調不良で、気持ちも落ちてて、休みの日も家から出ないでいたけれど、今日は出かけるつもり。
外はうすく靄のかかった春みたいなのんびりしたお天気だし、体調も昨日までよりはずいぶんいいみたいだし。閉じこもって、自分の心の中ばかりをぐるぐる巡っていても仕方ないし。
日々、何かあたらしいものを、かわいらしいものを、うつくしいものを、心に注いでいかなくちゃねえ。日々刻々、あたらしいわたしにならなくちゃ。
さて。チョコレート売り場でも覗いてみようかな。誰にプレゼントするわけでもないけれど。あの、可愛らしさを競い合って（売り場のチョコレートたちが口々に、「わたしを見て！口にして！美味しいんだから！あまーいんだから！すてきなんだから！」…ってひそやかに胸を張って言っている感じがするのだ・笑）ぴかぴかきらきらしたオーラを放つ、ちいさなお菓子たちから元気をもらうことにしましょう。

いろんなことが表面化してきたのは、去年の２月。
その少し前から週末にマンションに帰っても、夫が帰ってこない日が増えてた。
終電がなくなって友達のところに泊まっただの、少し離れた市で研修会と飲み会があるからホテルに泊まるだの、スノボに行くだの、なんだかんだ。
半分以上は疑ってたけど、というかわかってたけど、知りたくない気持ちも強かったから、そんな嘘を信じているふりをしていた。

その頃、３年連用日記を買って、つけはじめたんだった。
今でもだいたい毎日つけていて、もうすぐ丸１年が経つ。
そして「全て知ってしまった。」と書いてあるページが近づいている。
思い出せば今でもこころがざらざらと痛むけれど、離婚したことを後悔していないことだけは確か。あの頃、去年の今頃、わたしはとことん傷ついてはいたけれども、本当はもっとずっと前から、どうしようもなくだめになっていたんだし。なんとか取り繕って続けていたって、お互いにしあわせになんかなれないし。
でもねえ、やっぱり読み返すと、思い出すと、痛む。
あの日の痛み、あれから数ヶ月間の痛み。
来年の今頃、日記を開いたときにも、こんなふうに痛むのかな。
だんだん、だんだん、薄れていくんだろうな。
そうなるといい。

ほんの少しだけ、耳の具合がよくなった。うれしい。

毎日毎日しんねりとした言葉ばかり書いているのにうんざりして、大きく息を吸う。もう少し体調がよくなったら、からだじゅう思い切り伸ばして、たくさん汗をかいて歩きたい。
でも、あわてないあわてない。ひとやすみひとやすみ。


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しゃんとしない自分に言い聞かせておくこと。

必要以上におセンチにならないこと。
必要以上に潔癖にならないこと。
必要以上に怠惰にならないこと。
「べき」と「べからざる」に簡単に依拠しないこと。
しかしそれを軽んじないこと。
偽悪的にも偽善的にもならないこと。
必要以上に自罰的にならないこと。自己陶酔しないこと。
必要以上にクールなふりをしないこと。ドライなふりをしないこと。
必要以上に自分をおおきくつよく見せようとしないこと。
しかし卑下しないこと。
必要以上に自己否定をしないこと。
淡々と、淡々と、自分を見つめること。
さて。
今日のわたしのこころはどんなふう？

んーと…とりあえず、必要以上に露悪的にならないことと、腹を括ること、を決意しました（笑）。

いつまでも体調がよくならない。
だから今日も出かけない。
ひとりでいる。
ひとりでいて、ひとりじゃなかった数時間を思い出してぼんやりする。
と書くとなんだか乙女っぽいけど、実は全然そうじゃない。
こころのなかで、うっとりとうんざりが混在している。
うんざりは、自分の身勝手さに。あさましさに。
ひとに抱きしめられるのは、他の何にも代えがたい温かさだから、一度手にしてしまうと依存したくなる。体温だけじゃなくて、わたしに向けて語られる言葉に、視線に、依存してしまう。もっともっともっと、って思ってしまう。こわい。
この街には、たぶんもうあと２ヶ月弱しかいないから、期間限定だから、と自分を甘やかそうとしてしまう。
弱い、ずるい、あさましいわたしも記録しておく。

昨日は仕事が休みだったので、朝から病院へ。
先生にお願いして点滴をしてもらう。点滴、大好き。
そうしてむりやり元気を出して、買い物へ行く。
結局ワイングラスを買ってしまう。ワインも。クッションも。いろいろな食材も。
迷いながらも受け入れる準備をしてしまう。
迷いながらメールのやりとりをし、夜遅くにドアを開けた。
この部屋に入る、はじめてのひと。
たくさん話をして、数え切れないくらいたくさんあまいきすをして、こころの中で、ああこいつはろくでなしだなあと思う。わたしに似てるなあと思う。
罪悪感もない、未来もない、からっぽのあたまになってしまう。
怖いけれど、拒めない。求めてしまう。ひとのからだってあたたかいから。
だめだなあ。

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今日は一日中お布団の中にいた。
身体がつらいせいだけじゃなく、人前に出たくない気持ちだったから。
わたし、ろくでなしだから。

耳のつまりが治らない。
いらいらして、何もできない。
２月になったから、生活をきちんとしようと思ってたのに…。
まずはとにかく健康になることだ。
ああ、なんだかもういや。
早く治りますように。
ビタミンとか血行をよくする薬とか処方されたんだけども、そういうものなの？
それで治るものなのかなあ？不安。

またダウン。
今度は風邪から来る突発性難聴だそうで。
出張帰りに病院に寄って、聴力検査など受けてきました。
ああ、身体だるい。頭重い。耳が遠い。
この二日間のこと、あれこれ。

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・仕事後、女子友との飲み会前にホテルにチェックインしたところで、元夫から事務的メールが届いた。思わず「今この街に来てるんだよ。」と返信したい気持ちになってしまった。もちろん、しなかったけど。今さら会ってどうなるものでもないし、笑って思い出話できるのは、きっともっとずっと先だものね。

・同世代女子友って本当にありがたい。余計なことは何も聞かないでいてくれる。あれこれ四方山話してるとじわじわ元気になる。一番盛り上がった話題。みんなあと10数年頑張って、定年前の３年くらいを沖縄支店で過ごしたいね、という話。今、東京本社にいる、我らが出世頭のKちゃんに、なんとか沖縄支店長になってもらわなくては。などなど。

・駅で女子友と別れてひとりでホテルに帰る時には、元夫のことも元自宅のことも、思い出しもしなかった。もちろん泣きもしなかった。ありがとう女子友。

・今日、少しだけ二日酔いで仕事へ。久しぶりに会った同期（同い年女子・離婚歴あり）に、離婚したんだと言うと、いきなり「なんで？！」と…（苦笑）。それからしんみりと「大丈夫？今は大丈夫でも、しばらくしたら淋しくなるからね」と…。うーん。ありがとう。彼女とは昔からちょっぴり感覚が違うんだけど、心からそう言ってくれているので、「ありがとう、大丈夫。」と、しんみりせずに答えて別れた。

・あちこちの支社から集まった同僚さんたちと話したり、20代の若手社員たちが話してるのをこっそり聞いたり（耳遠いけど）、何かと刺激的な２日間ではありました。はやく体調万全にして、あれこれがんばらなくちゃだ。薬飲んで寝ます。

治りかけたと思ったら、また喉が腫れて咳が出て、今日はなぜか耳まで詰まってしまった。左耳、水の中にいるみたいに、ぼわんぼわんと音が遠く響く。それが長時間続くので、ひどくきもちわるい。
それだけでもうんざりなのに、仕事は忙しいわ、ささいなことで他社の人と険悪になるわ、腹が立つお客は来るわ、あれこれとうまくいかない一日だった。疲れた。

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明日から１泊２日の出張に行く。行き先は元夫の住む街だ。今までは出張しても当然自宅泊だったわけだけれど、今回はホテル。うーん。長年暮らしたあの街でホテルに泊まるなんて、なんだかとても変な感じ。夜はアラフォー女子同僚と飲む約束だから楽しみだけれど、お酒が入ったあとでホテルにひとりで向かうとき、たぶんわたし、すごく動揺する予感がする。泣いちゃうかもなあと思ってる。
どんなに酔っ払っても、間違っても自宅に帰らないようにしなくちゃ。もう鍵も持っていないから入れやしないんだけど、窓の灯りを確かめに行ったりしませんように。元夫に泣きながら電話したりしませんように。気持ちをしっかり保てますように。
ああ。なんでわたしこんな心配してるんだろう。
二度と顔も見たくないくらい、憎み続けてた方がよかったのかなあ…。

今日から２月。
いつまでも離婚のごたごたを言い訳にして、自分を甘やかして怠惰に過ごしてちゃいけないなあと、ふいに思った。
もっと自律して、背筋伸ばして生きたい。
自分に自信を持ちたいから、それに見合う努力をしたい。
「しなくちゃ」じゃなくて、「したい」。

一ヵ月半さぼっていた語学レッスンを今月から再開しようとテキストを開く。
うーん。どこまで進んでるんだろう。というか以前のところも忘れてるし。
焦る気持ちを抑えて、少しずつ少しずつ、と、呪文みたいに自分に言い聞かせて、一ヶ月半前のところから始める。
ささいなことだけど、一歩踏み出したねえ！と、盛大に自分を褒めてやる。

久しぶりにジムにも行きたかったけれど、風邪がぶりかえしてきたのか、喉が腫れて痛むので、大事をとって家で軽くストレッチだけ。
手間はかけないけれど、低カロリー高たんぱく野菜多めを心がけて食事を作る。
これで酒さえ飲まなければ、完璧なんだけど…。
「お酒は、今日一日頑張った自分へのご褒美さ！」と、やっぱり言い訳をして自分を甘やかしちゃうわたしなのでした。マジックアワーの空を眺めながら、今日も景気よくぱしっ！と缶ビールを開けたところです。あーあ（笑）。

一人暮らしを始めてから、２年１０ヶ月が過ぎた。
いつか帰るつもりだったから、ほんとうに一人分の食器しか持ってきていない。
お客様用のコーヒーカップもない。ワイングラスもない。
２年１０ヶ月、誰もこの部屋を訪ねて来なかったから、困りもしなかった。
だけど、今ちょっと困っている。
困っているのは、カップがないせいだけじゃないけれど。

どうしようかなあ…。
扉を開くべきじゃないことはわかってる。
わからないのは、わたしが本当に扉を開きたいかどうかだ。
…ううん、違うな。嘘だな。
開きたいと思っているんだけど、「べきじゃない」が怖くて重いんだな。
開こうとしている自分が、怖いんだな。

・出張から飲み会続きで、体が重い。
毎日二日酔いで、お酒が抜けてる暇がないみたい。
飲み会だからってそんなに飲まなければいいのだけど、それができない。
盛り上げなくちゃと勝手に思ってしまって、お喋りしすぎて飲みすぎて、余計なことを言ってしまって後悔して…って、何十年同じ失敗し続けるんだろう。

・お酒も抜けないし、風邪も抜けない。ずっと鼻声。ずっと頭痛。それなのに今夜もひとりの部屋で飲む。完全に依存症なのであります。

・出張で２日間ホテルに泊まったら、てきめんにお肌が荒れた。
１泊目は乾燥対策したのだけれど、２日目は酔ってぱたんきゅうだったので、目が覚めたら、かさかさのぱりぱり。これも後悔、後悔、大後悔。

・元夫からのメール、あのやさしいメールが最後だったらよかったのにと思う。
けれどまだ事務的なやりとりが必要なので、時々そういうメールが来るのだ。
でも、少しだけ緊張感がゆるんだように感じる。
「毎日寒いですね」なんていう一文が書いてあったりするんだもの。それが嬉しい自分がちょっといやだ。夫を懐かしむことは、同時に、失ったさみしさを、また感じることだから。もう憎まなくていいんだと、ほっとしてたけど、憎んだまま別れたほうが楽だったのかなあと思うこともある。
気持ちは、日々刻々うろうろと変わる。それは仕方のないことだ。まだ。
世間では「よくあること」だけど、わたしにとっては「はじめてのこと」だもの。

・来週もまた出張なのだけど、アラフォー女子同僚たちとの飲み会を計画しているので楽しみ。コラーゲン鍋をつつきながら、大酒を飲み（全員酒豪なので）、おおいに語りあう予定。今度は失言しないように気をつけよう…。

1/24（土）
雪が降るのを楽しみにしていたのに、天気予報は外れて上天気だった。
かりっと寒くて、圧倒されるような青空で。
風邪はもうほとんど治ったみたい。からだが軽くなっている。
あたたかく着こんで美容院へ行く。
いつもどおりのショートボブ。いつもよりちょっとだけ短めに。
大好きな美容師さんに、「わたし、離婚したんだよーん」と明るく言ってみる。
それからあれこれ四方山話。
「いつかまた結婚したいって思います？」と聞かれて、ちょっと考えてみた。
「そうねえ。してもいい、しなくてもいい、かなあ。」と答える。
答えてから、ふぅん、わたしはそう思っていたのかあ、なんて思う（笑）。


まっすぐ帰る気にもなれず、でもどこへ行くあてもなく、街をあるく。
結局いつものコースをたどる。本屋、レンタルビデオ屋、コーヒー屋。
豆乳ラテを飲む間、買ったばかりの文庫本を読む。
花屋のガラス戸の内側でぐうぐう寝ている犬を眺め、街中にあふれているご家族連れやカップルたちからは目を背け、日が暮れる前に家へ帰る。


夕暮れの空を眺めながら、ひとりの部屋でビールを飲む。
雪よ降れ。雪よ降れー。って願ったけれど、とうとう一片も降らなかった。
つまんないのー、と思いながら黙々と読書していたら、突然猛然と圧倒的なつよさで性的欲望がわきおこってきて途方に暮れた。漠然とした人恋しさ、とかじゃない、リアルなからだの欲望。具体的に誰かを恋しく思うとかじゃない、ただただシンプルなからだの欲望。うーん、困った困った。春の猫のようににゃおにゃお鳴きながら相手を求めて歩き回りたいような気持ち。
困った困ったと思いながら、窓から外をじっと見る。たくさんの家々の灯り。あの灯りの下には、それぞれ何かしらの思いを抱えて、人が生きているんだよなあ、と思う。そして未練がましくいつまでも、雪が降ればいいのにーって思いながら飲み続けた。

少しずつ風邪が治ってきた。
えらいなあ、わたしのからだ。
食べて寝て薬飲んだら、ちゃんと応えてくれる。
だるくて丸くなりたがってたからだが、まっすぐ起こせるようになる。
がらがら声が、鼻つまり声になって、もうすぐ普通の声になる。
えらいなあ、健気だなあ、からだ。

こころの方は、ゆっくりじっくり治していけばいいさ。
元気に動けるようになったら、ジムに行こう。散歩に行こう。ドライブに行こう。
映画を見に行こう。プラネタリウムへ行こう。
動物園にホッキョクグマを見には…ちょっと寒いからどうしよう。
美容院に行こう。ネイルサロンに行こう。エステに行こう。
友達に会おう。温泉に行こう。ライヴに行こう。
古本屋に行こう。雑貨屋に行こう。花屋に行こう。
恋をしよう。恋をしよう。いつかきっとまたね。

なにもかも終わったら、楽になるんだと思ってた。
なにもかも終わったら、なんにもなくなった。
さみしい。
ちょっとくるしい。